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2002年05月のバックナンバー

2002年05月14日

ITと自治体(大阪府羽曳野市を視察)

 昨日私達民主党友愛・無所属議員団の12名は、大阪府羽曳野市を視察しました。 羽曳野市は人口12万ほどの自治体ですが10年ほど前より住民サービスにITを活用し、その成果を挙げてきた市です。
「はびきのシティカード」という磁気カードを市が発行し、 市民が市内7ヶ所に設置されている交付機でカードを使い各種証明書の交付を受けるシステムを1991年に開始したそうです。現在では、 住民票・印鑑証明の他、市民税・固定資産税証明、外国人登録証明書などの発行も可能となりサービスの充実が図られているようです。
 戸谷さんという市役所秘書室の理事に説明を受けたのですが、さすが、このシステムを立ち上げる当初から関わられただけのことあって、 思い入れ・熱意・この間の苦労話など説得力・現実味のある話が伺えたと感じています。
 ITを進めていく上で一番重要なことは「住民が何を求めているのかをまず把握すること、 どんなにIT化を進めていっても市民が求めていないものを作ったり、 市民がついてこれないようなシステムを作ってもそれらは単なる税金の無駄遣いにしか過ぎません。」戸谷氏はこう力説します。 確かに盛んにIT化が叫ばれ各自治体も取り組みに熱をあげているようですが、それにかかるコストを考えると必ずしも「なんでもいけいけ!」 で済まされないでしょう。
 長引く不況で、ご多分に漏れず羽曳野市でもIT予算の確保には成果重視が問われているようです。また日々進化し続ける情報技術の中で、 国が進めるICカードと現在のシステムをどう整合させていくか苦慮しているとのこと・・・。
 総じて私は2つのことが大切だと考えます。
一つは「効果はどうか?」常に考えること。そしてもう一つは「将来はどうなるのか?」可能性を予測することを怠らないこと。 そうした検討のなかで「適正なシステムの構築」「適正な予算」が生まれてくのではないでしょうか?

2002年05月18日

個人情報保護と住基ネットワーク

 国会では「個人情報保護法案」の審議が始まりました。 今朝の新聞報道を見てみても政府案に対する様々な疑問や不備が指摘された模様です。
ポイントは・・・
1.「官」に甘い
2.「報道や表現の自由」を規制する
3. 今後導入される「住民基本台帳ネットワークシステム」との関係
などでしょうか。
 これまで個人情報の保護については、文京区においても国に先駆け、熱心な取り組みをしてきました。審議会を通じて素案を作り条例化された 「文京区個人情報保護条例」は、内容的にみても先進的なものと自負しています。
今後文京区として課題となるのが国会で審議されている「個人情報保護法案と住民基本台帳ネットワーク」との関係。ご存知の通り、 住民基本台帳ネットワークシステムは、個人情報などを国と地方で共有することにより事務の効率化を図ろうとするもの。 国と地方自治体がコンピューターで繋がれ、情報の行き来が瞬時に行われるようになります。
とどのつまり、地方自治体がどんな立派な条例を作っても国の法律がザルであったら意味がないということです。 十分に議論を尽くし国民に理解が得られるような法律にしてもらいたい。それと、福田官房長官は昨日の国会答弁の中で 「個人情報保護と住基ネットワークの実施時期」について 「自治体の準備も進んでいて混乱が生じるといけないので住基ネットワーク実施は予定通り8月に行う」と答弁していますが、 それは誤りだと思います。地方自治体は国の早急な要求に対し苦慮しているのが現実。
 住基ネットワークに伴い総務省から発行されるICカードには、各自治体独自の情報が記憶できる余白メモリがあり、 活用の仕方によっては地方自治体独自の住民サービスの向上にも寄与します。
私自身は「住基ネットワークシステムの導入」には賛成する立場ですが、個人情報保護と住基ネットワークシステムはあくまでもセットで、 十分時間と審議を尽くして法制化するべきものと考えます。

2002年05月20日

アスベスト検討委員会中間報告

 平成11年7月に始まった文京区立さしがや保育園の改修工事で、施工業者の過失によりアスベスト (人体に有害な影響を及ぼす化学物質)が飛散、園児がそれらをばく露したという事故について、当時議会でも大きな問題となりました・・・。
 園児の健康面での不安をつのらせた保護者の強い要請を受けて、文京区では 「文京区立さしがや保育園アスベストばく露による健康対策検討委員会」が設置をされ調査が進められてきました。その「中間のまとめ」が本日、 厚生委員会で報告されました。焦点は園児たちがいったいどれだけのアスベストをばく露し、 それらが将来に渡ってどれほど人体に影響するかと言う点。
 検討委員会は京都大学の内山巌雄教授を委員長とし、専門的な知識を有する方々を中心として様々な視点から調査・ リスク評価をし約3年近くの年月を経て中間報告に至ったわけです。
 どうして3年もかかったかか?と疑問に思うかもしれませんが、今日の報告を受け「なるほど時間がかかるのも無理はない・・・。」 との印象を率直に受けました。
調査の段階では、当時の現場での状況を再現しあらゆる角度からシュミレーションが行われています。園児がその時どこにいたか、 どれくらいの時間アスベストのばく露を受けたか、換気の状態はどうっだたか、その時の個別の園児の健康状態間までも加味し、 ばく露量の推計が行われたこと。保護者をはじめ多くの関係者からヒアリングを続け歳月をかけ「限りなく事実に近い園児のばく露量」 を推計してきたことなど、委員会の委員また関係者の協力と熱意に感謝したいと思っています。
結果として、園児のばく露量については「リスクレベルは今回のアスベストばく露によって、10万人あたり最大で6.3人の肺がん・ 中皮腫の発生が推定されるレベル。」との報告でした。委員会としては対策が必要な基準値を10万人に1人が発生するレベルと想定をしており、 この数値を受けて「ある程度の生涯的なフォローが必要。」と結論づけています。
 検討委員会では「今後の対策」について引き続いて検討を進めるとのことです。
議会としても当面はその結果を受けてどう対処していくか?ということになるでしょう。いずれにしても数字(数値) の空論にならぬよう現実的な対応をしていくべきものと考えます。

2002年05月21日

政策集団「日本の改革者たち」旗揚げ

 昨日東京プリンスホテルにおいて政策集団「日本の改革者たち」の旗揚げ記念シンポジウムが行われました。 同会の主宰である山本卓氏は私の友人であり長年に渡り、塚本三郎先生(元民社党中央執行委員長)のもとで政治を学んだ逸材です。
そんな彼が日本の将来を憂い、若い力でしかも地方政治の場から「日本のあるべき姿を模索していこう。」という観点で結成したのが 「日本の改革者たち」であり、その主旨に賛同をし私もメンバーの一員として参加することにしました。
 シンポジウムでは「日本の危機~戦略なき国家は生き残れるか~」と題し福田和也慶応大学助教授の基調講演に続き、塚本三郎氏・鈴木荘冶氏 (一橋総合研究所事務局長)・浜田和幸氏(国際未来科学研究所代表)・荒木和博氏(拓殖大学客員教授)らが加わり熱心な議論が行われました。
 総勢250名ほどの出席者を得て大盛会の旗揚げでした。
実際に活動するメンバーは当初15名ほどですが、全国の若手の議員の方々と「勉強会」等を重ねながら「これからの政策や政治のあり方」 を地方から発信していくシステムやネットワーク作りに挑戦していきたいと思っています。

2002年05月22日

首都移転に断固 NO!

 一昨日有楽町にある東京フォーラムにおいて「首都移転断固反対総決起集会」が行われました。 文京区議会からも成澤議長をはじめ何名かの議員が議会を代表して参加しました。
 「首都機能移転」についてはそもそも、平成2年11月に国会(衆参両院)において「国会等の移転に関する決議」が採択されたのが発端です。 その後、国会等移転審議会の答申を経て、 衆議院の国会等の移転に関する特別委員会でこの5月中を目途に候補地が絞られるということになっています。
 首都移転の目的は1.政治と経済の分離 2.東京一極集中の是正 3.災害対応力の強化などだそうですが・・・?。 全く説得力に欠けるものと思います。
そもそも12年前とは現在とは社会情勢が大きく変化をしていることを考えねばなりません。なぜこのような不景気の中、 巨額な資金を投じ移転する必要があるのか?その費用は総額12兆3000億円、うち公費負担4兆4000億円とされています。 (東京都の試算では20兆1000億円)また、政治と経済を分離させることが果たして良いのか?効率面でも国際競争の面でも疑問が残ります。
そして、新たな巨大都市建設は大きな自然環境の破壊にもつながります。
いいことなんて何も無いのでは・・・?
 これからも首都移転には断固反対の姿勢を貫いていきます。

2002年05月23日

税制改革と地方税

 今後の税制改革の焦点の一つである「地方税をめぐる検討」が政府の経済諮問会議でスタートしました。
片山総務大臣の「試案」には総額5兆5000億円にのぼる地方への税源の委譲や今朝の新聞報道では地域間競争を促す意味での 「地方税の税率自由化」への提案もなされたという事です。地方にとっては歓迎すべきことですし、是非実現してほしいと思いますが・・・。 あいかわらず財務省の反応は冷ややかなようです。
大切なことは、権限や財源の委譲を考える前に、この国における「国と地方の関係」をどうすべきか、またどうあるべきか?いわば、 グランドデザインをしっかり持つことではないでしょうか? アメリカでもヨーロッパでも国と地方の関係は明確だしそれに基づいた税源や権限のあり方も非常に解りやすい。日本はその点、 曖昧な部分や国の「ひも付き」みたいなことが多かったりして、本当の意味での地方自治が停滞しているように思われます。
 国は外交や防衛その他国益に関わる部分でしっかりやってもらって、あとは全部地方に任せてそれぞれの裁量で自由にやらせればいいでしょう?
世界的に見てもそれが一つの流れじゃないでしょうか。
それはともかくとしても、今回の地方税改革は是非そのような視点で大幅な税源委譲を進めてもらいたいと考えます。

2002年05月28日

土曜スクール(台東区でスタート)

 今朝、テレビで「土曜スクール」についての特集番組を見ました。
お隣り台東区では学校5日制導入に伴い区の主導で「土曜スクール」をモデル事業として開始したそうです。 各教科の補習だけでなくサッカー教室や音楽教育など多岐にわたるメニューで児童・生徒の要望に応えていくとのことです。
学校5日制導入の「ねらい」としては「ゆとりある学習」とか「地域に開かれた学校運営」など様々な目標が掲げられていますが、反面 「学力の低下」や「地域や保護者が土曜日休みの対応にどれだけ関われるか?」などの懸念もあることも事実です。そうした中、 区が率先して土曜スクールをスクールをスタートしたことは非常に意義あることですし保護者にとっても歓迎されることでしょう。
文京区においても学校5日制の対応については、独自の指針ぐらい作っても良いのではないかと思います。 突き詰めて言うならば個々の学校単位でもいいし・・・。
児童や生徒の「個性」を尊重するならば学校自体にも「個性」が」ないとダメだと感じます。
 公立学校も「選択制」が将来的には流れになる中「選ばれる学校」となるには5日制の対応はポイントになると思うし、教育委員会としても 「文教の府」にふさわしい対応が迫られるのでは・・・。

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